2010年9月13日月曜日

旧ブログ記事:PMシンポジウム2010報告(2):「人を育てることの意義」(2010年9月13日掲載)

先週9/10(金)、10時~2.5時間のセミナーをPMシンポジウム2010で担当いたしました。これで連続4年お声掛け頂いております。ありがたいことです。

今年のテーマは、「仕事を通じて若手を育てる」でした。

「プロジェクトマネージャやプロジェクトリーダーは、仕事の中でどうやって若手を育成していけばよいか」、様々な企業での取り組み事例などを取り入れながら、具体的なノウハウとしてお話ししました。

ノウハウをお伝えする前に、「若者を取り囲む環境がずいぶん変化していることに気をつけましょうね」という話もしたところ、ワークの最中に「環境変化のことを失念していた。若手が育ちづらいというより、ITなどの環境が変化して、自分にとっての当たり前が相手には違うのだ、ということだったのだ」と話している方もお見受けしました。(たとえば、「家の電話を取り次ぐ経験をしている新入社員が減ってきているので、企業での電話取り次ぎも当然、基本から教えないとダメなのだ」など)

このセミナーの最後にこういうメッセージを伝えました。

「自分が頑張った”証”は、人育てでしか残せない」

・・・

3-4年前からこのキーフレーズをいろいろな場で使っているのですが、この講演の前日、PMシンポジウム2010初日に基調講演でお聞きした「羽田国際空港D滑走路建設プロジェクト」もJAXA長谷川執行役の「ISS(国際宇宙ステーションプロジェクト」の話も共通する点があるなあ、と思いました。

まず、羽田空港D滑走路については、要求された仕様に「100年後までを見越す」といった内容が含まれていたそうで、15社JVのリーダーを務めた鹿島建設さんによれば、「100年後に70センチ程度の沈下を予想して建設」なさったのだそうです。

今回のプロジェクトに関わる、誰もがもう生きていない100年後のことまで考えての建設とは、想像もできない世界です。

JAXAの長谷川さんによれば、1985年にISSのプロジェクトを発足してから25年経ち、当初一緒に関わった方の多くが既にリタイヤなさっているとのこと。

この2つの例を見てもわかるように、D滑走路もISSも今もこれからも先に続くものですが、それを維持したり、発展させたりするのは、ほかならぬ「人」で、それも、開発当初に関わった人ではなく、その後を継ぐ人なのです。どんな人を育てたかで、自分が作った滑走路や宇宙ステーションが長く多くの方の役に立つかどうかも変わってきてしまうわけですよね。

明治時代の政治家である後藤新平氏は、「金を残すは下、仕事を残すは中、人を残すは上」という言葉を残されたそうです。

この言葉も「人を育てる」ことが一番大事だと語っています。

後輩を育てるのがメンドクサイ、手間だ、という声を聞くこともあります。でも、大抵、年長者は後輩よりは先にリタイヤするはずです。後まで続く何かを残したいと思ったら、まずは、人を育てることなんだと思うのです。

2 件のコメント:

  1. 一匹狼を自認して突っ走ってきた50歳オヤジには胸にグサリと刺さりました。確かに、100年先はおろか50年先に何を残せたか…う~ん、反省。

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  2. itoplanさん、全部を読んでくださってありがとうございます。ほぼ同い年なんですね(←そこ?笑)

    もとい。

    こういう大きなプロジェクトって、私の仕事ではないものですから、凄いなあと思いつつ、講演を拝聴しました。

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