2010年9月3日金曜日

旧ブログ記事:意思は表明しなければ伝わらない(2010年9月3日掲載)

「ネゴシエーション・スキル基礎」を公開講座で実施中です。

講義しながら、ふと思ったことがあります。

人間、交渉したいと思うことがあっても、最初の意思表示自体を躊躇することがあるかも、と。

たとえば、入院患者が、「毎日回診に来る医師が異なるので、誰にどう相談したらいいかわからない。今後の治療方針もいまいち理解できない」と思っている。見舞いに来た家族にもそれを伝える。患者も家族も、

「困るわねぇ、わからないのよ、どうなっているのか」などと話す。

じゃあ、医師や看護師、あるいは病院の誰かにその「不安」や「担当医とちゃんと話したい」と意思表示したか、というと、「してない」ということがある。

たとえば、部下が、「オレ、こういう仕事に取り組みたいんだけど、任せてもらえないだろうなあ。うちの部門のミッションでもないし」とぶつぶつ言っている。「上司にその気持ちは伝えたの?」と尋ねると、

「いや、どうせ言っても無駄だし、ミッションじゃないと言われるのがオチだし」と言う前からあきらめている。

たとえば、ある買い物をして、不具合があるような気がする。明確に不具合じゃないんだけれど、「変かも?」という程度に疑念がある。

「これさあ、買ったばかりなんだけど、不調なのよね。気のせいかも知れないけど」
「買った店に言ってみた?」
「いやあ、”そういう仕様です"なんて言われるかも知れないし・・・」

と周囲には愚痴をこぼすものの、結局、アクションを起こさない。

・・・

例を挙げればキリがありませんが、まあ、とにかく、「意思表示」自体を躊躇することが多いのではないか、と思ったわけです。

「ネゴシエーション」(交渉)というと、「難しい!」と思う方が多いのですが、それは、「相手の言い分を聴いて整理して、互いに享受できる利益が大きくなるための創造的に話し合う」のが難しく、だから、その部分を研修でも扱います。けれど、そのもっと手前の部分で、

「交渉したい時、交渉すべき時、”私はこう思う””私はこうしたい”を意思表示する」ことも大事なんですよね。

それは、スキルというよりも、「気持ち」の問題で、自分でその「躊躇」を乗り越える努力をするしかないのだよなあ、と思うのです。

勇気を持って、まずは、意思表示。

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