新人だった頃の思い出。
ある日のこと。グループの代表番号にかかってきた外線電話を取りつごうと「転送」ボタンを押した瞬間に、誤って切ってしまうという出来事がありました。
まだ初々しかった(そういう時代もあったのです)私は
「とんでもないことをしてしまった。社外の方から電話を切ってしっまった。どうしよう?」
とパニックになり、そばに座っていた先輩に
「電話を切ってしまったのですが、こういう時はどう対処したらいいのでしょう?」
と泣きつきました。
先輩は、のんびりした声で、
「あら、大丈夫よぉ~。用があるならまたかかってくるわよぉ~」
と書類に目をやったまま言いました。
へ?と力の抜けたものの、再度かかる可能性のある電話器を凝視。
果たして1分もしないうちに外線が鳴り、ドキドキ。
「私が取らないほうがいいんじゃないでしょうか?」
「田中さんが取りなさい。そして、真っ先に”先ほどは失礼しました”とお詫びすればいいんだから。」
びしっと言われ、意を決して受話器をとりました。
お詫びすると、先方は「ああ、いいんですよ。よくありますよぉ」とおっしゃいました。無事転送し、自分の受話器を置いて、ほっ。
「ああ、失敗してもいいんだ。ちゃんとお詫びして、次にうまくやればいいんだ。」
そう思えたら、少し自信が持てました。
「大丈夫、またかかってくるわよぉ~」というのどかな言い方で緊張がほぐれ、「あなたが対処しなさい」とびしっと言われたことで、自分の責任でこなすのだ、と自覚が生まれました。
この先輩は、既に退職されていますが、あの時のオフィスの光景、ドキドキした気持ちなど、昨日のことのように思い出します。
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