2009年4月30日木曜日

旧ブログ記事:仕事の意味づけ(2009年4月30日掲載)

2003年から様々な企業の「新入社員OJT制度」支援やOJT担当者側の研修を数多く行ってきました。いまや、私の仕事の60%は占めると思われます。(3月~9月までに分散して「OJT担当者研修」を。12月~2月にかけては、「OJT担当者フォロー研修」をあちらこちらで行っています。)


*そもそも「OJT制度」とは何か、は、近々ちゃんと説明します。

とにかく、新入社員を指導する側の悩みや喜び、不安や疑問を数多く聞いてきました。

また、時々担当する、新入社員の研修を通じて、教わる側(新入社員)の不安や悩み、疑問、不満なども聞いています。

どちらにも言い分があり、その二者双方と関われる場合は、部外者として互いの気持ち、言い分を橋渡しすることもあります。

今日のテーマは、「雑用」です。

ある時、新入社員向けフォローアップ研修を実施しました。入社してから10ヶ月経った1月ごろの話です。

「これまでに上司や先輩にかけられた言葉で嬉しかったもの、励まされたもの」と「困ったもの、嫌だったもの」を整理してもらいました。


沢山のいい言葉、困った言葉が挙がった中で、「雑用」という用語が私のアンテナには引っかかりました。


たとえば、

● 「雑用は、××にさせておけばいいよ」と脇で先輩同士が話しているのが耳に入った(××は、新入社員の名前)

● 脇を通りかかった先輩に、「何しているの?」と聞かれ、一生懸命取り組んでいる仕事について説明したら、「それって雑用でしょ。」と言われてしまった

というものです。

いずれも、「がっくりきた」「傷ついた」として模造紙に書かれていました。


これで思い出したのは、別の企業でのある光景です。

人事部の方が、OJT担当者を集めた会で「配属前の注意事項」として、こんなことをおっしゃっていました。


「皆さん、新人は、”雑用係”ではありません。配属先でヒアリングをして回りますと、時々”雑用”を細切れに押し付けられているケースを耳にします。雑用ではなく、しっかりと”仕事”をさせてください。お願いします。」


「雑用」という言葉を国語辞典で調べてみると、それほど悪い意味はないようですが、上記の場合は、「育成などを視野に入れず、単に”あ、これがあったから、やっといて””そういえば、誰かがやらねばならないから、新人の君、ちょっと片付けといて”などと割り当ててしまう」ものをこの場合”雑用”と言っているのだと思います。


話は戻りますが、新入社員が「雑用」と言われ、傷ついた、不満に思った、と聞き、「と言っても、配属直後って何もできないし、任せられないし。それに、いわゆる”新人仕事”ってのもあるよね。」と思う方も多いはず。


それはそれでわかります。たとえば、”新人仕事”の筆頭になると思われる電話を取ること。これは、単に電話を取る、だけでなく、「ビジネスマナーを実体験」できたり、「どの企業と取引があるのかを学ん」だりできる、といったメリットがあります。

だったら、せめて「雑用は××にさせておけばいいよ。」「それって雑用でしょ。」ではなく、何かうまい表現を先輩側もしたいものです。

とても上手に動機付けをした先輩の例を聞いたことがあります。


その人は、新人時代、1年間、彼曰く「とてもつまらない、単調な作業」を任されていたそうです。いくら新人とはいえ、「ああ、つまらない」と思っていた矢先、近くの席の先輩が

「君がやっているその作業、地味だけど、非常に重要な仕事なんだ。皆のためにありがとね。」

と声を掛けてくれたとのこと。

これで、「ボクがやっていることは、先輩たちの役に立っているんだ」「単調だけど、意味のあることなのだ」と思え、次年度の新入社員に引き継ぐまで、不満は一切持たなかったと言います。


「意味づけ」をすることは大事です。

新入社員の場合、知識や経験が浅いため、自分で意味づけをするのは難しいかも知れません。

OJT担当者や上司、あるいは、直接指導に当たってはいないけれど先輩として新入社員の近くにいる人、誰かが彼らの仕事に「意味づけ」をする手伝いをしてあげればいいんですよね。

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