それが、アルバート・エリスのABC理論のことだと気づいたのはずいぶん経ってからでした。
たとえば、恋愛中の若い男女。私の若いころと違って、携帯で連絡を取りあえる、そういう現代。
「メール送っても返信がない」
「電話しても、折り返しかかってこない」
・・・が数時間のことであっても、焦ってしまう、というような話を聴くことがあります。(若手向けの研修の休み時間など、こういう「恋ばな(恋愛話)」がてんこ盛りです(笑))
「もう私のことを嫌いになったのではないか?」
「メールの返信をしないなんて、私の優先順位が低すぎやしないか?」
などと、嘆いたり、悲しんだり、はたまた、憤慨したり。
でも、これ、意味づけをしているのは、全部、受け手側なのですよね、考えてみたら。
事実は、「メールの返信がない」・・・。これだけ。
「電話が折り返しかかってこない」・・・。これだけ。
「嫌いになったかも」とか「優先順位を低くされている」というのは、相手ではなく、そう解釈しているのは自分。
「人は、出来事そのものによって苦しむのではなく、捉え方によって苦しむのだ」というのは、こういう例でもよくわかります。
ということは、です。
「出来事」は変えられずとも、その出来事の「捉え方」は変えられるかも知れない。
「あ、たまたま、忙しいのかも」
「今、会議中でそれどころじゃないのかも」などと。
ある出来事が起こったとき、それによって、感情が揺さぶられたとき、「出来事」の「捉え方」に「合理性」があるかどうかを自問自答してみる必要があるかもしれません。
ところで、以前、これまた新聞のコラムでですが、「90秒ルール」というのを読んだことがあります。(著名な精神科医か脳科学者だかの言葉だそう・・・。すみません、これも出典忘れました)
「ムカーっとしたら90秒他のことをする」
これで、気持ちがおさまり、「売り言葉に買い言葉」になったり、「売りメールに買いメール」になったりすることを防げる、というもの。
90秒もあれば、確かに「あれ?私、何に怒っているんだっけ?」と遠い記憶になりそうです。
しかし、実は、むかっとした時の90秒とは、とても長い。
「9秒」でもいいかも知れません。心の中で「九つ数える」。
これだけでも、ずいぶんと心が静まる気はします。
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ところで、ABCとは、
A:Activating events (現実に起こっている出来事)
B:Belief (信念)
C:Conseqeunce (結果)
のことです。
A→C (例:電話来ない→腹が立つ)
とはならず、
A→B→C (例:電話が来ない→浮気かもと疑念を抱く→腹が立つ)
となるものだ。だから、Bの部分を少し変えたら、Cも変わるんじゃない?というのが、ABC理論の考え方です。
A→B→C (例:電話が来ない→会議中だったかも→もちっと待ってみよう)
・・・なんて感じ。
ポジティブシンキングとは違って、「物事の捉え方」が合理的?と見直すところがポイントです。
(※なお、わかりやすくするために「恋愛」を例にとってみました(笑))