2011年2月19日土曜日

「受講者」という言い方を変えてはどうか。

研修を提供する立場としては、ついつい、参加者を「受講者」と呼んでしまいます。(さすがに、「受講生」とは言いません。生徒みたいなので。)

しかし、最近、よく思うのです。

「受講者」でいいのか?

「受講」の「受」は、「受ける」ということで、「受ける」というのは、その時点で「受身的な表現」なのですよね。

受講者ではなく、「学習者」と、「学びの主体はあなたたちですよ」という呼び方を社内同士の会話でも研修会場でもするべきではないか、と思うようになりました。

そう思ったきっかけの出来事を。

随分前のことです。ある研修で、グループワーク用に4人1組で座っていただいてました。

最初は、「知らない同士」が4人向かい合って掛けているので、なんとなくそわそわします。

しばらくしたら、「自己紹介」や「得て帰りたいこと」などを話すフリータイムを設けます。これで、アイスブレークは完了です。最初よりは、うんと和やかな空気が教室全体に漂うようになります。

数時間に1回、シャッフルして、色々な人と出会えるよう、グループ替えを行います。

また新しいメンバになるので、朝1番に行った自己紹介ほど時間は取らないものの、手短に「自己紹介やアイスブレーク」をしていただきます。

これで、新しいグループでも話がしやすくなります。

グループ編成は、休憩時間に入る直前に変えることが多いのですが、それは、休憩後すぐに次のステップに進めるからです。

何回もグループ替えを行っているうちに、講師主導で「今から5分取るので、自己紹介を」などと言わずに進めるようになりました。お互い、大体はどういう人かわかってきたかなあ、と思ったので。

ある演習をした時に、いくつかのグループがうまく成果を出せないことがありました。その振り返りの中で、「毎回とってくれてた自己紹介の時間を(講師が)設けてくれなかったからかも」という声が聞こえました。

研修後のアンケートでも「グループ編成を変えるたびに自己紹介タイムは設けたほうがよい」と記載されもしました。

・・・・

たしかに、その場をファシリテートしているのは私なので、ちゃんと時間を設けて「自己紹介しあいましょう」とリードしてもよい、といえば、よい。

ただ、なんとなく、ひっかかりを感じたのですよね。

グループ替えをしたら、かならず10~15分の休憩時間をとっていた。トイレに行き、タバコを吸い、飲み物を購入してきても、数分は余るはず。

クラスに戻ってきたら、再開前に、自主的に「自己紹介しようか」「この時間にお互いのことを知り合っておこうか」となってもよいのではないか、と。

現にこのクラスに参加していた方たちは、マネージャだったりリーダーだったりして、いつも部下に「自発的に動け」とか「自分で考えて、自分から行動しなさい」と口をすっぱくして言っているのです。

・・・・

「講師が”自己紹介タイム”を設けなくても、休憩時間の数分を自分達で使おう、とならないのはなぜだろう?」

ここがギモンに思えてきました。

それで冒頭のテーマに至るのです。

「受講者」という呼び方がいけないのではないか。

講師が主、参加者が副、というような「精神的構図」が生まれているのではないか。

私達講師がことさらに「講師だ!」とパワーを発揮しているつもりは全くないにも関わらず、参加している方が意識しないうちに「受身」状態になってしまうのではないか。

・・・

「学習者」と呼び方を変えたからと言って、すぐに何かが変わるわけではないけれど、

「学習する主体は、皆さんですよ。だから、受講していると思わず、学習していると思ってください」というメッセージを伝え続けていたら、「じゃあ、休憩時間をうまく活用しようか」と考え、動き始める人も出てくるのではないか。そんな風に思ったのです。

7時間のクラスは、午前1回、午後3回休憩を取ることになり、合計40分が休憩タイムになります。(ランチタイムを含まず)

業務時間にランチタイムを除き、40分も休憩していることはないわけで、だとしたら、「休憩時間を自己紹介などの時間に使おう」「休憩時間を使って、それまでに学んだことをノートに整理しよう」となってもいいはずです。

「学ぶのは誰か」。

これ、新入社員研修に限らず、ベテランのクラスでも強く意識していかねばならないことだなあ、と思うのでした。

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「学習者」というのも、実は、呼びかける際には、ちとフシギな語感です。

たとえば、
「受講者の皆さんには、この書類に・・」
とは言いやすいけれど、
「学習者の皆さんには、この書類に・・」
は、耳慣れないためか、違和感が。

もっといい表現はないのかな。

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