2011年6月7日火曜日

疑問:「共感しないとダメですか?」

このところ、「四都物語」と称して、東京・名古屋・大阪・兵庫とOJTトレーナー研修で飛び回っています。

新入社員をはじめとする「トレーニー」(育成対象者)の話をきちんと聴き、受容し、共感しましょう・・といった練習もします。

後輩役には、自分の悩みや課題を、先輩役(OJTトレーナー役)に訴えていただき、先輩はそれを傾聴し、受容し、共感する・・・というロールプレイをするのです。

しかし、これがとても難しい。

先日、こういう質問を受けました。

まったく共感できない場合でも、共感する”ふり”をしないとダメですか?

・・・あ、なるほど。

「共感」を「同じ気持ちになる」ととらえると、こういう疑問がわきます。

しかし、「共感」は「同じ気持ちになる」というのとは違うのです。
「あなたの気持ち」を受け止め、「あなたの気持ちは分かった。理解できた」と相手に示すことが「共感」です。

質問した方は、例を挙げてくださいました。

「僕は、初対面の人でも上司でも先輩でも平気で話しかけられるし、話しかけちゃう。後輩に、とてもおとなしくて引っ込み思案で、自分からはどうしても声がかけられないというタイプがいる。そういうの、全然、わかんない、と思っちゃうんですけど」

そうですよねー。自分とタイプ違うと、「その”どこ”が大変なの?」と思ってしまいますよね。

とはいえ、「俺、全然わかんねぇ」と言うのではなく、反対にわからないのに「そうだよね、そうだよ、わかるよ」と言うのでもなく、ただ、「あなたがそういう気持ち・状況なのはわかった」と伝えてあげればいいんですよね。

「●●さんは、人に話しかけるのが苦手なんだねぇ」
「●●さんは、話しかけようとするとドキドキしちゃうんだ、なるほど」

こんな感じでいいのです。

・・・・そう解説したら、「あ、そうか。気が楽になった。それに、そういう言い方ならできそうだ」とのこと。

同じ気持ちにならねば、と思うから、難しい。それでも「共感」を、などと言っていたら、嘘っぽい反応をすることにすらなる。

だから、無理に自分の気持ちを曲げるのではなく、「あなたの気持ちは理解したよ」と伝えるだけでよいのです。

病院に行った時のことを考えてみましょう。

<パターン1>
患者:「風邪のせいか、喉がとても痛いんです」
医師:「まあ、喉風邪だったら、喉が痛いに決まってるわなあ」

<パターン2>
患者:「風邪のせいか、喉がとても痛いんです」
医師:「僕は今健康だから、よくわかんないなあ」

<パターン3>
患者:「風邪のせいか、喉がとても痛いんです」
医師:「ああ、これは、痛いね、早く痛いのが治るように治療しましょうね」

・・・どう考えても、パターン3がいいですよね。

このとき、医師自身は喉が痛いわけでもないし、同じ気持ちにはなっていないでしょうが、それでも、「ああ、これは痛いね」と受容し、共感しています。

こうやって「気持ちを分かってもらえた」ということが、人間関係をよりよくしていくと思うのです。

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