先日、総合病院の口腔外科外来で自分の番が来るのを待っていた時の話。
歯科・口腔外科の隣は、皮膚科で、その皮膚科受診で来院したらしい20代女性が、ふと立ち止まり、歯科・口腔外科の外来受付の女性(たぶん、看護師さん)に問い掛けたのでした。
「あのぉ、ちょっと聞いていいですか?今日は皮膚科で来てるんですが」
「はい」
「私、ちょっと前に歯が痛くなって、近所の歯医者さんに行ったら、虫歯だというので、痛み止め貰ってそのままにしているんですけど、その薬を飲みつづけていたら、気のせいか、味覚がなくなってきた感じがして・・・・。それって、虫歯が進行しているんでしょうか?」
「・・・ええと、かかりつけのお医者さんがいるのですか?」
「はい、近所で。味覚がなくなってきたし、やっぱり、病院に行ったほうがいいでしょうか?」
「ええ、そうですね、何が原因かは言いかねますが、かかりつけ医があるなら、まずはそちらに」
「そうですよねぇ。ありがとうございました」
・・・・
フシギな会話だなあ、と耳をダンボにして聞き入ってしまいました。
この女性、この病院には、皮膚科受診で来ていたのですね。で、歩いていたら、歯科の窓口が目に止まったので、最近気になる歯科の症状について、受付の看護師さんに尋ねてみたようなのです。
「味覚異常も発生し、虫歯が進行しているということでしょうか?」と突然尋ねて、どういう答えを期待していたのだろう? ← この部分がオモシロイ、と思ったのです。
仮に、看護師さんが「あ、大丈夫ですよ。味覚異常なんて気のせいですから」と言ったらどうしたのか。(そんなことを関係ない看護師は決して言うわけもないが)安心したのか?ま、いいか、味覚異常だけど、放っておこう、と思ったのか。安心できたのか。
早く病院にいくべき!と言われたら、それに背中押されて、ようやく、地元の歯科にかかるのか?
なんだろう・・・?
「味覚異常」「虫歯放置」と自覚しているなら、即刻病院に行けばいいのに、と、会話を聞いているだけの私は、心の中でつぶやいていました。
こういう会話って多いんですよね。
「しかるべき人」に言えばいいのに言わない。
例えば、食事に行って、自分が頼んだものがなかなか出てこない時に、「このお店、どうなっちゃっているのかしら?12時半までに出してくれるのかな?」と連れには言うけれど、お店の人をつかまえて言わない。
例えば、研修中、グループディスカッションをしている時、「これ、後でプレゼンするのかな?」とメンバ同士で話し合っている。講師に尋ねればよいのに(講師は先に指示出しているのだが、それは聞き落としている場合が多い)。
例えば、同僚に「休暇を取りたいけど、許可してもらえるかなあ」と言い、いつまでも上司には相談に行かない。・・・
例えば、具合悪い時に「風邪かなあ?」と周囲の人にはこぼすけれど、なかなか病院には行かないなんてことも。
とにかく、この手の「しかるべき相手に言わなければ、何事も先に進まないと思うけど」というような場面は多いような気がします。
なぜ人は「しかるべき相手」に言わないのか。
なぜ人は「言うべき相手」ではない人にだけ言うのか。
関係ない人に言い、「大丈夫」という返事を受け取り安心したい、とか、「うん、それでいいんじゃない」と言われ、勇気が湧いて次の行動に出られるとか、そんなところなのでしょうか。
自分が考えていることを全否定されたらどうしよう?と不安がある、なんて理由もあるかもですね。
フシギ。
問題を解決したい。
物事を先に進めたい。
自分の状況を変えたい。
そう思うなら、「言うべき相手」「しかるべき相手」に向けて行動を起こさなければ意味はないのに。
無関係な看護師さんに「味覚異常ですかね?」と問い掛けても、おそらく何も解決しないように、仕事上の何かも「周囲にぶちぶち言っていても状況は変化しないよ」と思うことが時々あります。
上司だろうと顧客だろうと、言ってみたらよいのに。
よもや”とって食われる”ことはあるまい、て。
ありますね~物事から逃げたい時や逡巡してる時、
返信削除件の行動をして…「外堀埋めてる」とか「熟慮してる」とか自分に言い訳しながらww テストマーケティングじゃあるまいし…何も進みませんよね。
ネガティブで臆病者の僕は
そんな時、飲み屋さんのトイレに貼ってあった
具体的に動く──
それしかないね。
具体的に動けば
具体的な答が出るから
(相田みつを)
という言葉を思い出して「逃げ」を「挑む」に変えるように心がけています。
コメント、ありがとうございます。なるほど。やはり、みつをは、いいこと言いますね。
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