2009年6月13日土曜日

旧ブログ記事:きたみりゅうじさんの『新卒はツラいよ!』を読んだ!(2009年6月13日掲載)

きたみ りゅうじさんの『新卒はツラいよ!』(幻冬舎文庫)を読みました。漫画+エッセイです。
ご本人があとがきで、この本を「一番の代表作」と言い切っているほどの力作です。

ご自身の大学時代の就職活動から入社4年目までを描いています。

バブル崩壊後の就職氷河期に苦労して就職活動をし、最終的に入社したソフトウェア会社はとんでもないところで。

入社1年目からひどい目に会い続けるのですが、それでも、少しずつ成長していく姿は、ちょっと涙出そうになります。

登場する社長や常務は、ありえないほどの悪人(?)で、仕事量はハンパでなく、よく身体壊さなかったなと思うほどだし、理不尽なことだらけの毎日。

読んでいると、「こんな会社、そこまで頑張らず、辞めちゃえばいいのに」と感情移入してしまうのですが、それでも、自分のため、待っているお客様のために、必死に仕事をこなすのです。

漫画の部分は、その場の雰囲気とかその時の状況、気持ちが紙面からひしひしと伝わるほどのタッチで描かれ、合間に入る2ページのエッセイは、その当時のことを振り返り、マジメに思いを語っています。

以下の部分は、なるほど、そうだよね、と共感できたところです。(『』内は引用。・・・は”中略”した部分です。)) 

『会社がどーだこーだではなく、目の前の仕事ときっちり向かい合えたかどうか。そこにどっぷり浸ってみた経験を持つか否か。それは同時に成長期との境目も示す、今後につなぐ上で欠かせない大事な経験だと思う』

『「できるかどうか自信がありません」・・・考えてみれば、そもそもみんなそうなんですよね。その気もちを飲み込むかどうかが違うだけで、結局みんな、自分の中にあるそんな気持ちを自覚しながら、素人である部分をなんとか取り繕いながら、四苦八苦して仕事をこなしている』

『「楽しい仕事ってどんなかな」という話をしていた時、・・・「やっぱ、人なんだよな」・・・「結局は一緒に仕事するメンツ次第なんだよ」というのは、実感として「そうだよなぁ」と思うのです。・・・魅力的な職場は魅力的な人たちによって作られる。今でもそう思います。』

文庫版あとがきには、さらにこんな一文も。

「ある大学ではキャリアを考える教科書としてこの本を採用してくれているところもでてきたりしました。」

なるほど、です。仕事について考える時期に読んでみるのもいいかも知れません。

・・・・・・

私は、この本にあるほどのひどい目に合ったことはないですが、読みながら「若い頃がむしゃらに取り組んだいくつかのこと」を思い出しました。

あの時踏ん張った、あの時代頑張ったことは、今の土台になっているかなあ、と。

※そうそう、最後のほうにちらっと登場する、きたみさんの奥様がとてもいい。おおらかというか、なんというか。泰然自若な感じ。

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