2009年6月21日日曜日

旧ブログ記事:患者は「自分の症状」を訴え、医師は「病気の症状」を考える(2009年6月21日掲載)

「医療情報技師」という資格保有者のための勉強会に参加してきました。医師、看護師、臨床検査技師、企業のSE、CE、医療機器を扱う企業の方など大勢いらしてました。

この資格保有者は、医学・医療、情報処理技術(IT)、医療情報に関する知識(倫理、電子カルテなどの記録の電子化、など)を持ち、医療業界と情報処理業界とを結びつけるというミッションをお持ちだそうです。(対象となる知識領域が多岐に渡るので、資格取得は大変なのではないか、と推測します。)

今日の勉強会では、医療現場のコミュニケーションについて考えたのですが、中でもランチタイムに、ある大学の先生が仰っていた言葉が印象に残りました。(以下は、会話の主旨です)

「患者にとっては、自分の症状が全てだけど、医師は、数多くいる患者の一人だと思ってしまうんですよね。

だから、”こんなに大変なんです”と訴えても、”よくありますよ””その病気はそういう症状なんですよ”というような返事をしちゃう人もいる。

患者は、他の大勢なんて関係なく、自分が直面している症状・状態こそが全てなのに。

コミュニケーションがかみ合わないって、そういう場面でもありうるんですよね」

・・・・・

考えさせられました。

どの職種でもそうですね。

自分の専門分野については、同じような事象を何度も何度も経験している。だから、その分野の非専門家が、「これ、大丈夫?」「気になるけど」などと心配し、質問してきても、「あ、よくあることだから心配しなくていい」などと軽く返事をしてしまう。

経験則があるからこその対応だし、たいていの場合、”大したことない、心配しなくていい”が「正しい答え」なのだろうけれど、それは、単なる事実についてだけ目を向けた対応方法であって。

「これ、大丈夫?」「気になるけど」と心配している人は、「大丈夫」という答えだけではなく、「こういう理由で大丈夫」「こうなっているから気にしなくていい」と、そこまで知りたいわけで。

似たような場面を考えてみました。(以下、実話)

システムの使用現場で。

●ユーザ:「画面にこういうメッセージがたまに表示されるんですが、何ですか?」
●SE:「あ、これ、気にする必要のないメッセージです。」

スポーツクラブにて。

●私:「身体の計測をしてもらったんですが、この数値とグラフから何を読み取ればいいですか?」
●スタッフ:「あ、この”栄養”というグラフは、そういう風に表示されるだけで、気にしなくていいです。」

相手の言葉(聞こえているもの)だけでなく、そのココロの内(聞こえていないもの)までを忖度(そんたく)して会話する。頭では分かっても、行動を伴わせるのは難しいものがあります。

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