2011年1月7日金曜日

旧ブログ記事:「添削」をしてはいけない(2011年1月7日掲載)

「新入社員や若手の文章力を何とかしたい」
「日報や週報を見ていると、間違った漢字ならまだしも、存在しない漢字(もどき)がたくさん書いてある」
「字だけではない。表現もなんだかおかしい」
「とにかく、日本人として、ちゃんとした日本語を書かせたい」

・・・・といった話をよく聞きます。

そのことを人事部や配属先の上司・先輩がどう対応しているか、というと、

●一生懸命、赤ペン先生をしてあげている・・・というケースが非常に多いのですね。

「この字とこの字が間違っている」と二重線を引き、正しい漢字を書き添えてやる。
「この言い回しはこうしたほうがよい」と赤で上から書き直してしまう。

さあ、こういう「真っ赤っか」な添削済みの文章を戻された部下・後輩はどうするでしょう?

「ここを直せばいいのね」と、機械的に手を動かし、文章を置き換えてしまう。文字を修正してしまう。
この時、脳みそは、ほとんど使っていない。ただ、作業として直すだけ。

・・・・

これを繰り返すとこうなります。

●添削してあげる上司や先輩の日本語力、文章力は向上する
●添削された部下や後輩の日本語力、文章力は向上しない

だから、「添削」をしてはいけないのです。

急いでいる時、締め切り間近な時は仕方ありませんが、そうではなく、部下や後輩を育てたい、彼ら・彼女らの日本語力や文章力を向上させたい、と願うのであれば、心を鬼にして、ぐっとこらえて、我慢して、直してはいけない。

単に
●「○付いたところ、字が違うと思うので、調べて直してね」
●「線を引いた箇所は、論理的ではないので、文脈を見直してね」
と言って返します。

あるいは、
●「・・・と書いてあるけれど、その理由は?」
●「その論拠は?」
などと突っ込んでいきます。

それに答えようとしたら、部下や後輩は自分で調べたり、再度考え直したりしなくてはなりません。

多くの方は、ここを間違ってしまう。たぶん、「赤ペン先生」をしてしまうのですね。だから、疲れるし、大変だ、と思ってしまうわけです。

直すのではなく、直させたい箇所を指摘する。そうしたら、徐々に日本語も文章もよくなってきます。

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ついでに言えば、「国語辞典」を持ってこさせましょう。

自席に、自分のバッグに「辞典」が入っていたら、調べることも習慣づきます。
若手を育てるというのは、ちょっとした工夫でできることが多いものです。
上司や先輩が頑張るのではなく、部下や後輩に頑張らせることです。

国語辞典の効用については、「わくわくヒューマンスキル」でも書いています。以下もあわせてご覧ください。

●第35回:「国語辞典」を使っていますか?
http://blog.globalknowledge.co.jp/wakuwaku/ojt/35.html

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