お話してくださった方の前職でのお話です。
航空会社のシステムを担当なさっていたそうです。ちょっとしたデータの入力ミスか何かで、空港のカウンター業務が全部ストップするような事態になったそうです。(彼がそのミスを起こしたわけではないのだと思う)
こういう場合、全員総出で「障害対応」に当たるのでしょうが、この時上司は、新入社員だった彼にこう言ったそうです。
「障害対応はいいから、お前は空港に行ってこい。そこで、何が起こっているか、自分の目で見て来い!」
こういわれた彼は、すぐ空港に飛んでいきました。そこには、カウンター業務がストップしているため、対応におおわらわな職員、怒っているお客さん、長蛇の列。何もかも止まっている、大勢の人が影響を受けていることを目の当たりにしました。
さらに、NEWSでは、色々な人がインタビューされていて、中には、「葬式に出席できなかった」といった声も報道されていたそうです。
その現場を見た時、「ああ、たったひとつのミスがこれほどの大きなことになるのだ。ちょっとした気の緩み、油断、大丈夫かなあ、と思ってやってしまうことが、多くの人に、あるいは、その人生に影響してしまうのだ」と強烈に胸に響いたそうです。
「だから、どんなことでも基本に忠実に、しっかりと確認しながら進めなくてはいけないのだ」と。
彼は、この経験から、こう考えるようになったそうです。
「トラブルってあとから文書が回ってきて、警告されたりするけど、体験したことがない障害のレポートを読んでも、あまり切実に感じられることはないと思う。可能だったら、”現場に行って来い”をぜひやってみたい。もちろん、障害対応だって人手がいるだろうけど、若手のために現場を一度見せるのは重要なんじゃないか」
文章でわからないことは沢山あります。
肌で感じる、目の当たりにする衝撃というのは、何事にも替えがたい体験ではないかと思いました。
それにして、この上司、スゴイですね。
緊急時に、「空港に行って、見て来い」なんて、なかなか言えるものではありません。きっとこういう方が若手を育てていくマネージャなのでしょう。そして、このマネージャもかつて若かりし頃、同じ体験をしたのではないかとも思うのです。
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