2010年5月13日木曜日

旧ブログ記事:先輩が言ってはいけないセリフ(OJT)(2010年5月13日掲載)

さあて、5月も中旬。各職場で新入社員の受け入れが始まる時期です。田中も「OJT担当者向け研修」や「その上司向けセミナー」というった一社向け研修がずーっと続く予定です。

昨年もこの時期は、「新入社員」と「OJT」のことを連続して書いていたので、今年も。

で、ですね。

先輩がぜーったいに言ってはいけないセリフに

「私は反面教師だから」
「僕を反面教師と思ってもらえればいいから」

ってのがあります。

そんなことを言われた後輩(特に、新入社員)は、いったいどーすりゃいいんでょう?

「じゃあ、誰を見て、成長すればよいの?」
「ほんでは、誰を見習えばいいのさ?」

と戸惑うばかりです。

私にも経験があります。もう20年も前の話です。

前職で私は新卒で入社する後輩達に「プレゼン」や「教え方」などを伝授するような社内研修を自主的に作って、開催していました。それまでは、特に体系だった教育がなかったというのもあって。

私が入社した当初、時々「プレゼンを教える」先輩がいらしたのですが、その方の後を継いだ形です。
折角担当するなら「ちゃんとやりたい」と思い、外部に勉強に行ったりして、単に「プレゼン」だけではなく、「教えるスキル、教育学的な内容」を含んだテキストを作り始めました。それで「私が担当する」と宣言し、上司にも許可を得て、完全に引き継いでしまったのでした。

数年後。

この方は、私にこう言いました。

「田中さん、プレゼンとかコミュニケーションって教えるの、簡単でしょ?僕は、たまにしかやらなかったけど、ずっと簡単だと思っていたよ。だって、いろいろ説明した後に、こう言えばいいんだから。   『要するに、私の真似をしなければいいんです。私がしていることが反面教師ですから』ってね」

この一言は、とても衝撃的でした。そんな気持ちで後輩指導をしていたのか、と。

冗談だったかも知れません。でも、忘れられない一言でした。

以来、肝に銘じていることがあります。

プレゼンでもコミュニケーションでもコーチングでも、あらゆるヒューマンスキルの研修に従事するようになった今でも、絶対に言わないセリフ。

「私を反面教師だと思ってくださいね」

・・・・・

後輩ができたら、先輩になったら、「私を手本にしてください」と言う自信はなくても「手本にしてもらえるよう努力しているから」というくらいの気概は持ちたいものです。

そうでなければ、後輩がかわいそうです。

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