2009年10月29日木曜日

旧ブログ記事:本:『小倉昌男の経営学』(2009年10月29日掲載)

昨日、「最近読んだ本」を紹介したので、ふと思い出して、他の本も紹介します。

何年か前に読み、以来、ずっとデスクに置いて、時々、参照している書籍です。

● 小倉昌男氏 『小倉昌男 経営学』 日経BP社

宅急便の創始者である小倉昌男氏が唯一記した「経営」の本、だとあります。

商用貨物のビジネスから、宅配を始めるという英断をなさって、国とも戦い、社内の軋轢も乗り越えて、大事業に発展させるのですが、始めたばかりの頃の話にこんな一場面が出てきます。

古参のドライバーがSD(セールスドライバー)に職種転換をしなければならなかったときの話です。

以下、部分抜粋で紹介します。(同著 P.178-179より)
「古くからいるドライバーたちから拒否された。-俺たちは車の運転が好きだからヤマト運輸に入社した。・・・集金などまっぴらだ。- 彼らにこう言われて、私も困ってしまった。・・・・」

「当初は文句を言っていたヤマト運輸の古株社員ドライバーたちも、宅急便の配達に行って、お客様からありがとうとお礼を言われるようになってから、様子が変わった。商業貨物を運んでいた彼らは、それまで貨物を配達に行ってお礼など言われた経験がなかった。そのため、びっくりするとともに感激してしまった。そして段々やる気が起こってきたのである。」

・・・

どうですか?

「やる気」に関するエピソードとして、「そうそう」「うんうん」と納得しちゃうような出来事だと思いました。

以下は、私自身の経験です。

ヤマト運輸のSDさんは、担当地域が決まっているので、荷物を持ってきてくださるのはだいたい決まっていて、顔なじみになることもあります。

とても感じのよいOさんという男性SDさんが我が家の担当になって、満面の笑み、元気な挨拶、ちょっとした一言の会話など、サービスマインド溢れる人だなあ、とずっと思っていました。

そのOさん、気づいたら我が家に来なくなり、別のSDさんが担当になった様子。


「Oさん、どうしたのかあ?」などとたまに思い出していました。


2年くらい経ったある日、ピンポーンというチャイムが鳴ってドアを開けると、目の前にOさんが。


「宅急便でーす!」と。


「おおぉぉ、お久しぶり」と言ったら、


「ボクのこと、覚えていますか?」


とOさんはとても驚いていました。


「ええ、覚えていますよ。Oさんでしょ。退職されたのかと思ってました」


「隣の地域の担当になって、2年くらいそっちに行ってたんですけど、また呼び戻されました」


「あ、そうですか。Oさんの顔が見られなくて気になってたんです。」


・・・などと言いながら、荷物にはんこついたりしてまして。

「ああ、感激だなあ。名前覚えてもらっているとは思わなかったなあ・・・。いなくなった、とかそんなことまで気にしてくれているお客さんがいるとは思わなかったなあ・・・。ああ、本当に感激だあ。この仕事しててホントによかったと今日あらためて思いました。ありがとうございました。ホント、よかったなぁ・・・。これからもよろしくお願いします」

と感激しきりな様子。

名前を覚えている、というだけでそんなに感激されると思わなかったので、姿が見えなくなるまで見送ってしまいました。

小倉さんの著には、P.192にこうもあります。

「お客様に接する機会が多ければ、やる気のある社員が育っていく。」

小倉さんは、お客様に接する機会が少ない職種・業種でも管理者の工夫次第でやる気醸成はいくらでもできるはず、とも述べています。

私などは、受講者の方から後日メールが来て、「実践結果、こうでした!」というエピソードを聞いたりすると感激してしまいます。

どういう仕事でも「フィードバック」って大切ですよね。

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