5章:企業「外」人材育成
社内だけでなく、社外でも学ぶことの意義を説いている章です。
中原さんは、組織外での学習について、以下のように述べています。
P.303より引用
「職場や家庭以外のさまざまな場へと自らの意志で「越境」することによって、「日常としての修羅場」から一時的にアンプラグド<田中注:つながっていない状態、オフの状態>し、新しいものを見聞きし、刺激を受け、知的に興奮し、その都度熟考できれば、よりよく生きることができるのではないだろうか」 (こういった学習を「越境することによる学習」というそうです。)
P.305より引用
「組織の中で奮闘しつつ、時に組織を「越境」しつつ、自らを「取り戻し」、新しい物事を「再創造」する大人に、私はなりたい。」
一方、金井さんは、紐帯(ちゅうたい)の話を使って、こう解説します。
(マーク・グラノヴェッダーは、家族などより、たまに会う程度の知り合いといった弱いつながりの方が役立つ情報を提供してくれるといったことを「弱い紐帯(ちゅうたい)」と名づけているそうです。)
P.297より引用
「強いネットワークの輪の中にいる人たち同士は、住んでいる世界もほぼ同じだから、それぞれが持っている情報や発想が似通っている場合が多い。それに対し、「弱い紐帯」で結ばれた人たち同士は、よりレパートリーの広い情報や意外な発想を持ち合うことができる。」
このことからも、社外で学ぶことの意味や意義を再考できるんじゃないか、ただし、社外でばかり学んでいるのもまたダメで、ちゃんと社内での学びとブレンドされていないとね、と付け加えています。
私の仕事上の経験で言えば、 1社向け研修は、それぞれ密度の濃い、社外秘も含めた議論ができて、それはそれで有意義ですが、公開コース(当社ですと、新宿、大阪のトレーニングセンターで開催)の場合、多種多様の企業、職種の方が集まるので、たとえば、「自分にとって当たり前なことが、全く通じない」体験をしたり、あるいは、「同年代なのに、私より数倍レベルの高い仕事をしている人がいるんだ」と刺激を受けたりして、とても有意義な空間になっている様子をよく見ています。
公開コースなんてのは、まさに「社外での学び」のチャンスだな、と思います。
プライベートな経験では、この10年、ずっと大学に通い続け、組織行動論などを勉強していますが、そこで知り合うクラスメイトは、まず、自分の仕事環境で出会うことのない方たちばかりです。
学問のマジメなお勉強というだけでなく、そういう場で「自らのあり方」を自問自答するのにも、大学といった学びの場は役立つものだと実感しています。
なお、この本は、お2人別々のあとがきがあり、本編とは違う読み応えがあります。
中原さんのあとがきは、「あとがきという名のリフレクション」と題して、ご自分のキャリアについて書いていらっしゃいます。
金井さんのあとがきは、「やや長めでおせっかいなあとがき」とあり、中年期以降の発達課題などについても再度触れています。
このお2人のちょうど間の年齢の私には、どちらのおっしゃることも過ぎ去った過去とこれからの未来の両方の観点から「うん、わかる」「想像できる」と共感するところ大でした。
この本で引用されていたいくつかの学説や理論、研究については、別途、それぞれの本で読んで学習したいと思っています。
★追記(2011年5月21日)
「弱い紐帯」・・・。もしかすると、Twitterでのつながりというのは、まさに「弱い紐帯」かも知れない。全てではなくても、少しだけリアルに知っている、知り合えた方たちというのは。
さて、長々と3回にわかって書いてきたのは、訳がありまして。 今宵12/4(金)、今年最後のLearningbar@東大、があります。
中原さんと金井さん両氏が登壇、というステキなイベントです。
後日、改めてレポートします。
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