2009年5月17日日曜日

旧ブログ記事:「拙著さん」(2009年5月17日掲載)

もう時効なので紹介しちゃいましょう。 

ずいぶん前、ある都市の団体に招かれ、1時間くらいの講演をしたことがあります。定例会議の一枠を割いていただいて「経営者やマネジャのコミュニケーション」についてお話しました。

東京から新幹線で数時間という、離れた土地だったので、事前の打ち合わせは全てメール。事務局の男性とのやり取りで進みました。

講演の1週間ほど前、「よろしければ、会場に拙著を置かせていただけますか?皆さんにご覧いただければと思いまして。こちらから事前にお送りしますので。」と問い合わせをすると、先方からこんな返事が。

「田中さんの拙著を会場に展示する件、了解いたしました。」

・・・・・・「拙著」「拙著」・・・。うん、確かに「拙著」かも知れない・・・。ぐすん。

当日初めてお目にかかった「拙著さん」、40歳くらいの真面目そうな紳士でした。

こういう場合、指摘するわけにもいかず、難しい。

「拙著さん」に、「あのぉ~、”拙著”というのは謙遜の表現であって、他人はそういう表現を一般にはしないものですよ」などと言うのもどうかと。

それは、謙遜表現を使った本人が、他人に「これは謙遜です」と表明するようなもので、少なくとも当事者は指摘できない。(第一、本当に”拙著”だと思っていた可能性もあるわけで)

かくして、この手の間違いや勘違いは、たいてい放置されてしまう。

以前、研修の参加者からお聞きした例ですが、「御社と弊社を逆に使う人がいた」のだそうです。


「御社が弊社に提案したいのは・・・」

「弊社は御社の提案をどのようにお考えになりますか?」

などと。

「ウソでしょう?」とその場にいた多くの人が突っ込んだのですが、「いやいや、本当です。だって、その商談にボク、同席していたんで。話の中身、全然頭に入らなかったんです。言葉が気になっちゃって・・・」とおっしゃってました。

もし自分がそういう「勘違い」「誤解」「間違い」をしていたら、遠慮なく指摘してほしいとは思うものの、やはり、誰も言ってくれないだろうなあ。

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