帰宅途中の地下鉄車内で。ドア付近に窓の方を向いて立つと、50センチほど離れたところには、ドアを背に、車両の中のほうを見て立つ「コワモテ(強面)」のおじ様が。
あたりを睥睨(へいげい)し、誰にともなく、全身で威嚇している、という風情をぷんぷん漂わせている。「あ、目を合わさないようにしよう」とビビるほどであった。
しばらくすると、そのおじ様が、私に向って、なにやら変な顔をし始めた。
コワモテで、変な顔。
ちょっと口を尖らせたり、目を見開いたり。眉間に皺を寄せたり、口をぱっと開けたり。
「わたし、何かまずいことでもしたかしら」と内心どきどきしつつも、そのおじ様の百面相に気づかない振り(視界の端には入るのだが)をして、「次はどの駅かなー」などと表示を見上げてみたりして・・・。
おじ様の百面相はなおも続く。だんだん顔の動きも大きくなる。
「いったい何だ?」「私に文句でもあるのか?」などとますます心臓は高鳴り・・、気もそぞろになっていると、
私の背後から、
「きゃっ」
というBabyの声。
振り返れば、ママに抱かれたBabyが、そのおじ様の百面相に反応して、笑い声を上げていた。
コワモテのおじ様は、私の肩越しに見えた、よそのBabyに向って、パフォーマンスをしていたのだった。
『人は見た目が9割』という本があったが、「人は見かけによらない」とも言えるのである。
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