2009年5月22日金曜日

旧ブログ記事:タメ口(2009年5月22日掲載)

入院中の知り合いを見舞った時、聞いた話。 

「最近、新人とおぼしき看護師配属されたらしく、病室にその人が来るんだけど、初対面で、私よりうんと年下なのに、タメ口なのよ。」

詳しく聞けば、「待ってたのぉ?」とか「この部屋、いい風入ってくるねぇ」とか。

一つひとつは些細な言葉なのだが、動くこともままならぬ(ここ数ヶ月は安静状態で)高ストレス状態の患者にはイラっとさせるものだという。

かれこれ3ヶ月近く入院しているので、確かに親しくなった看護師さんもいる。その人とはタメ口で話すこともある。それは「関係」があるからだ。だけど、この新人は、突然部屋にやってきて、娘のような年齢なのにタメ口を聞く。私はそこまであなたと親しくない、と、フンガイしていた。

ちゃんと一人の大人として扱ってもらいたい!と。

たまりかねて、とうとう、親しくなったベテランの看護師さんにやんわりと伝えたら、その日の看護師会議?で話題になって、指導が入っちゃったみたい。

どうしよう?仕返しされたら・・・。邪険に扱われたら・・。これが新たな悩みと不安になってしまった。

数日たってその看護師が部屋にやってきたときは、緊張したそうだが、丁寧な言葉遣いに変化しており、さすが、看護師長や先輩は、教育上手なのだな、とほっと胸をなでおろしたと言っていた。

この話を聞き、思い出したのは、数年前、母が入院したときのことである。

手術日前後、私は関西で新人研修真っ只中だったため、すぐには見舞いに行けなかった。

やっと東京に戻り、その日の仕事も終えて病院に駆けつけると、たまたま、夕方の検温か何かの時間だった。

20代の若い看護師が部屋に入ってくるなり、「どうぉ?田中さぁん、ご飯、食べられたぁ?」「あら、ちょっと残しちゃった?あまり食べられない?」「お熱はどうかな? ちょっとあるみたいね。」なんてことを言うので、仰天してしまった。

母に「いつもあの口調なの?気にならない?」と尋ねると、術後の母は、そんなことより大切なこと(自身の身体)があったためか、「別に。気にならないわ。」と言った。

「今は、化粧もしてないし、ふけて見えるかも知れないが、ちゃんと化粧して、洋服着たら、結構しゃきっとしているんだぞ。子ども扱いされる筋合いはない!」と娘の私の方が憤りを感じた。

ナースステーションにクレームを言いにいこうと思ったが、あと数日で退院だったし、ことを荒立ててもと言わずに済ませた。

その時思ったのは、患者自身が気にしなくても、家族が気にする。傷つくこともあるということだ。

コミュニケーションは、当事者同士の問題だけでなく、その周囲にいる人にも何らかの影響を及ぼすことがある。

当人ではなく、周りが見て「ん?」と思う。傷つく。フンガイする。そういうこともあるのだ。(そして、医療とか福祉の現場では、サービスを受ける側に”弱み”(診てもらっているという)があるので、言いたい文句を飲み込むことがあるという面もある。)

*わが身に置き換えて考えてみれば、受講者は、講師に直接苦言は伝えづらい、ということだと思う。

「もっとゆっくり話してほしい」などと言いたいとしても、「スピードについていけないのは自分だけか?」と悩むこともあるかも知れない。(自分が受講者の時、たまに思うことがある。)

どんなことでも、人の振り見て、わが振り・・・なのだ。

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「この話、原稿のネタにしてもいい?」と尋ねたら、「いいよぉ」と。

そして、それに続いて、「社会から隔離された中で、久しぶりに社会とつながっているって感じられた。どう料理するか楽しみ♪。ネタに貢献できてよかった。」とメールが届きました。(病室内はケイタイメールOKなんだそうです。)

こういうことが励みになることもあるのだなあ、と知りました。今度お見舞いに行く時は、印刷したこのページを渡そうと思います。

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