2009年5月3日日曜日

旧ブログ記事:初めて叱られた思い出(2009年5月3日掲載)

たまには自分のことを。 

文学部教育学科出身で、コンピュータの「コ」の字もわからず、(一度も触ったこともなく)、DECというコンピュータ・メーカーに入社してしまいました。 

当時珍しかった「職種別採用制度」をとっていた企業だったことで、採用されれば、確実に「教育の仕事」ができるとわかっていたことと、学生時代のゼミの教授が「これからはコンピュータ業界じゃない?」と仰ったことがきっかけとなり、DECを受けたのです。 

当時DECの教育部というのは、「IT技術研修」だけを生業としていたので、私も、VMSというOS(Operating System)のインストラクタになるため修行をしました。 

「文系でも、コンピュータ未経験でも大丈夫」と言われてはいたものの、IT技術研修の初日からちんぷんかんぷん。ソフトウェアだけではなく、ハードウェアの研修まであって、「電気信号がどうしたこうした」といった研修も受けました。 

ソフトウェアですでに落ちこぼれているので、ハードウェアなんて推して知るべし。 

企業の研修というのは、学生時代の勉強と違って、とにかく次々と新しい科目を学ぶ。テストもある。レポートもある。 

ハードウェアの研修が始まって何日目だったかのことです。講師は、1年先輩のHさん。 

その日も朝から全く全く全く講義がわからず、「何がわからないか言え」と言われても、それがわかるなら苦労はしない、というほど、どん底の落ちこぼれ状態で、その内、なんだか少しずつ腹が立ってきたのです。 

理解できない自分にも、次々こなさねばならない新人研修にも、あるいは、「文系でも大丈夫だ」と言ったじゃないか、と人事の方にも(八つ当たりですね)。 

意識していたか無意識だったかは忘れましたが、相当「ふてくされた」態度をとっていたようです。 

その日の研修が終わって、講師のHさんに呼ばれました。 

「田中さん、ちょっと来て。」 

そして、こう言われました。 

「研修がわからないことは構わない。学生時代にやっていた人と差がついてしまうのも仕方ない。だけど、その態度は何なんだ。わからないならわからない、どうしてほしい、ときちんと正しい方法で意思表示をすればいいじゃないか。ふてくされた態度なんて、大人のすることじゃない。成績が悪いことじゃなくて、田中さんのその態度が気に入らない。」 

入社して1ヶ月経つか経たないかの時です。 

衝撃的というか、「ああ、そうだなあ」と心の奥までこの言葉は響きました。 

「態度で表わしたって、誰も助けてくれるわけないよなあ」と深く反省しました。


それにしても、上手な叱り方ですよねぇ。 

考えてみたら、この先輩、私と同じ年なんです。(私は一浪して社会人になったので、2年目の先輩とはたいてい年が一緒。) 

23歳でこんな上手なお説教ができるなんて、今思い出しても感動します。このHさんに、私は、今でも頭が上がりません。 

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私のインストラクタデビューは、9月4日。はっきり覚えています。(入社5ヶ月後、ですね。)「FORTRAN入門」というプログラミング言語の5日間コースでした。(時代を感じさせます。) 

その頃、新人研修のノート内容が、どれもこれもはっきり理解できるようになっていました。(書いている時は、まるでわからなかったのに。) 

学習には「時間薬」というのもあると思うのです。だから、ノートだけはきちんと取っておいてよかった。 

新入社員研修で、「研修についていけない」と言った相談を受けると、「ノートだけは取っておくといい」と勧めるようにしています。いつか、役立つ時が来るから、と。

(ただし、私の場合、ここまで落ちこぼれてしまったのは、相当センスが悪かったからだと思われます。この時から4年後、私はヒューマン・スキルに新天地を求めて始動します。それは、また、別の話。)

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