たとえば、「コミュニケーション・スキル」研修であれば、「コミュニケーションとは?」を定義する。
「プレゼンテーション・スキル」研修であれば、「プレゼンテーションとは?」を定義する、といった具合です。
テキストにちゃんと定義は書いてありますが、たいていの場合、まずは「皆さんは、”コミュニケーション”をどう定義しますか?」という問いかけから入ります。
小グループでディスカッションしていただき、まずは、自分たちの考える「定義」を模造紙に書き出していただくこともあります。
この時に気をつけなければならないことがあります。
それは
「それって本当に定義ですか?」
ということです。
「コミュニケーションとは何か?を定義してください」 というお題を出したとします。
挙がってくる「定義」にはこういったものがあります。
A.言葉やジェスチャーなどを使い、情報や考えや気持ちなどを交換すること
B.会話やメールで、互いの持っている知識を理解しあうこと
C.生きていくために欠かせないもの
D.自分と相手とで理解を深めるために会話すること
・・・
さて、この中でひとつだけ異質なものがあります。
C.生きていくために欠かせないもの(こと、でもよい)
です。
これ、定義ではないんですよね。
A.コミュニケーションとは、「言葉やジェスチャーなどを使い、情報や考えや気持ちなどを交換すること」
B.コミュニケーションとは、「会話やメールで、互いの持っている知識を理解しあうこと」
C.コミュニケーションとは、「生きていくために欠かせないもの」
D.コミュニケーションとは、「自分と相手とで理解を深めるために会話すること」
全部、文章は成り立ちますが、主語を変えてみたら、Cが定義でないことはわかります。
「コミュニケーション」を「ほげらまぴん」に変えてみましょう。
A.ほげらまぴんとは、「言葉やジェスチャーなどを使い、情報や考えや気持ちなどを交換すること」
B.ほげらまぴんとは、「会話やメールで、互いの持っている知識を理解しあうこと」
C.ほげらまぴんとは、「生きていくために欠かせないもの」
D.ほげらまぴんとは、「自分と相手とで理解を深めるために会話すること」
A、B、Dは、「ほげらまぴん」とは「何か」がわかりますが、
Cの場合、「生きていくために欠かせないのはわかった、だけど、じゃあ”ほげらまぴん”って、結局、なんなんだよ!?」と突っ込みたくなります。
「コミュニケーション」という行為を定義する場合、「それが何をどうすることか」という”行為”の説明がなされていないといけないわけです。
「○○について定義してください」と言われた時、主語を「ほげらまぴん」に変えても、それが何かが通じる説明になっているかどうか、 を一度チェックしてみるとよいと思います。
これは、講習を進める講師側、ファシリテーションをするファシリテータ側も意識しておかねばならないことです。
※ ちなみに、「ほげらまぴん」とは、今適当に作った言葉で、何の意味もありません。
※ さらに、「定義」はあくまでも「ここでの定義」でOKです。参加者間での認識合わせを行うものだからです。
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