2009年11月2日月曜日

旧ブログ:社長のドキドキ(2009年11月2日掲載)

講演を依頼されることがあります。

1日がかりのセミナーでの講演の場合、2-3人の登壇者がいて、講演者同士は控え室で歓談したり、講演会場でも「関係者席」なんかに座って、普段なかなかお話しできないような方と言葉を交わせたりするので、ちょっと得した気分になります。

数年前のこと。

ある企業の社長Sさんと共にセミナー講師になったことがありました。社長Sさんのお話の次に私が登壇という順番でした。

Sさんとは以前より面識があったので普段ほどは緊張せず、休み時間などに言葉を交わしていました。

150人くらいの会場で、だんだん緊張してきた私にSさんは、落ち着きはらっていらっしゃる。
さすが社長、慣れているのだろうなあ・・・と思い、ちょっとお尋ねしてみました。

「ああ、私、だんだん緊張してきてしまいました。心臓が口から出そうです。Sさんは大丈夫ですか?」

「いやあ、ボクはまあ慣れているんで、大丈夫ですよ。全然緊張しません」

「そうですか、それはうらやましい・・・」

「あ、でも、この間は緊張したなあ。すごくドキドキしたことがある」

「え?それは何の時ですか?」

「この間ね、入社式があったんですよ。そこで社長だから講話するでしょ。壇に上がったら、かーっと緊張してね」

「入社式で、ですか?それはそれは。今年の新入社員の方、何人ぐらいですか」

「24人です」

「今日の会場より少ないですけど、24人でドキドキだったのですね」

「だってねぇ、田中さん。皆、きらきらした目をして私を見るんですよ。真剣に。あの新人のまなざしを見た瞬間に『ああ、この若者達をちゃんと食わしていかないといけないんだな』とその責任の重さに震えました」

「・・・・いいお話ですねぇ。私だけがここで聞くのはもったいないようなお話です」

・・・・・

講師控え室やら講演関係者席では、時々、こういうとてもステキなお話をうかがうことができます。


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