2009年11月4日水曜日

旧ブログ記事:チャンスは自分で作る(2009年11月4日掲載)

先日紹介した「偶発性理論」の事例、続きです。

もう10年くらい前の話。ある企業で新入社員向けのフォローアップ研修を担当しました。 2月だったと思います。

入社して数ヶ月は同期と一緒に新入社員研修で勉強。配属後は、それぞれに異なる仕事をして、半年ぶりくらいに同期と再会です。

新社会人としてまだ11ヶ月程度のこの時期ではあっても、「やる気」も「仕事ぶり」も「成長ぶり」もずいぶん差がついている感じがしました。

やはり、「成長しているなあ」と思う方というのは「自分で考え、自分で主体的に行動している」人なのですね。

主体的に行動・・とは、「どういう状況であっても、自分がその場面での主人公になるために、どうしたらいいかを考えて動く」と言えるかも知れません。

ある男性がこういう話をしてくれました。

「ボクは学生時代、マスターまで進み、”○○技術”というすごく特殊で地味な研究をしていて、その技術や知識をさらに学び、その分野で活躍したいと思って、この会社を選びました。

配属先は希望通りで”○○技術”を使う部署だったし、そういうプロジェクトが沢山あるところだったのでやったと思いました。

ところが、来る日も来る日も会議の議事録を書かされるばかりで、これじゃあまるで事務職と同じだ、とくさった気分になって来たんです。秋ごろの話。

しばらくやる気も低迷していたんですけど、よく考えてみたら、今自分に与えられた仕事は「議事録をきちんと作ることだ」と思い直して、とにかくこれを一生懸命取り組もうと考えました。

手直しの指示などされないような、完璧な議事録を作ることを考えたんです。

それで年明けて先月のこと。上司に呼ばれました。

”XXXプロジェクトのメンバにこの春から入らないか”。

晴天の霹靂というか、すごくびっくりしました。その”XXXプロジェクト”というのは、ボクが学生時代にやっていた”○○技術”を使うだけじゃなくて、うちの部署ですごく重要な、花形なプロジェクトで、新人がメンバに抜擢されるなんてことはないはずだからです。

”どうして私を?”と上司に尋ねると、”ここ数ヶ月のキミの仕事ぶりを見ていた。議事録なんて単純作業だと思って手を抜く人もいる。希望の仕事と違ってやる気なくして、ずっとふてくされちゃうのもいる。だけど、キミは、議事録ひとつでも決して手を抜かず、新人とは思えないできばえのものを出してきた。このXXXプロジェクトは、細かいことも緻密にやり続ける能力が必要だ。だから、キミの仕事ぶりを買って、僕が推薦したんだ。”と言われました。

どんなことでも見ている人がいるんだなあと怖くなったし、自分で気持ちや考え方を立て直して、ちゃんとやってきてよかった、と思いました。」

・・・・・・

配属先とか上司とか与えられた仕事とか、自分で選べない要素は多々ありますが、与えられた状況にどう対峙するか、は自分で決められるし、自分で選べるのですよね。

この新入社員さんには、すごく大切なことを教えてもらった気がしました。

彼は今30代半ばだと思うのですが、元気に活躍しているかな。

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