2010年1月12日火曜日

旧ブログ記事:「他社事例を聞きたい」と言うけれど。(2010年1月12日掲載)

たとえば、OJT担当者研修とか、コーチングスキル研修などを担当していると、よくリクエストされるのが「他社事例を聞きたい」です。

私も今年で人材育成の講師業歴が丸24年(4月から25年目)になるので、それなりの事例ストックは頭の引き出しに入っています。

「このスキルなら、あの話」
「この知識なら、あの事例」
といくらでも出てきますので、リクエストに応じることはさほど難しくありません。

また、「他社事例」を沢山紹介すると、受講後のアンケートのコメントには、

「他社事例が沢山聞けてよかった」
「IT業界外の例も多く紹介してくれてよかった」

と書かれることも増えます。(つまり、講師評価が高くなる)

しかし、ちょっとだけひっかかるのは、皆さん、この事例をお聞きになって、その後、それをどう活用なさっているんでしょうか?です。

事例は、自社・自部門・自グループに応用してこそ意味があると思うのです。

「いい話を聴いた」
「楽しかった」
「笑えた」

で終わってしまってはいけない。

場合によっては、「この事例を自社・自部門に応用するとどうなるか?」を議論していただくこともありますが、たいてい、その途端に盛り上がらなくなります。

「事例はいいけど、うちとはちょっと違うしねぇ」
「上司が協力してくれないと」
「部下の資質にもよるし」

・・・

「事例を聞きたい」は、「聞いて気分がよい話」をすればよい、というのとは違って、それぞれの方が職場で生かしてなんぼ。

そこをどうつなげるか、もし、つながらないなら話しても無駄なのでは、と、そこが講師としてのジレンマにもなります。

講演なんかは「事例だらけ」でもいいと思うのですが、研修は、「事例が多けりゃいいのかなぁ」・・・と悩むところです。

もちろん、たまに「あの事例を自社に戻って、こう応用してみました!」という成果報告のメールを頂戴すると、意味があったんだなあ、と嬉しくなりますが、こういう話をお聞きするのは稀なんです。

なので、もし、効果があった、活用した、応用した、というお話があれば、遠慮なくどしどしメールなど、お寄せくださいませ。


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