今日はあるクライアントの全社イベントに招かれ、90分の講演をします。
「チーム力を向上するためのコミュニケーション術」といったタイトルです。最大で300人くらいの方が集まるそうです。
普段、研修の仕事をしていますので、クラスの人数というのは、最少で3人くらい、最大で3-40人といったところです。
50人を超えると、研修というよりは、セミナー。100人を超えると、セミナーというよりは、講演、という感じになります。(あくまでも語感・イメージですが)
研修は、聴き手に問いかけたり、聴き手から発言をしてもらったり、質問を受けたりと、双方向に進めますが、「100人も200人もいたら、演習は無理でしょ?」と言われることがあります。
でも考えてみたら、もし自分が聴き手だったとして、90分もじーっと他人の話を聞き続けるのは、苦痛ですよね。「私にも考えがある」「私にもしゃべらせろ」という気持ちにもなるんじゃないかと思うわけです。
なので、60分100人、でも、 90分200人、でも、2時間400人・・でも、必ず、演習を入れるようにしています。
今まで体験した最大の参加者数は400人でしたが、これは、出版社主催の読者イベントでした。そして、この400人が人生初の「大人数」向け講演だったのです。
講演初体験だったこの時はさすがに演習を入れるのに勇気が要りました。
しかし、やってみよう!と思ったので、挑戦。
「今から、隣の方同士で○○について話し合ってみてください」 と壇上から言いました。
一か八かですね。誰も協力してくれなかったら、しーんとなるだけですから。
出版社の方は、「ア、田中さん、本当に演習入れちゃった」とあせったそうです。それまでに「3-400人規模」の講演で、会場中の人に同時に何かをしてもらうというのを見たことがなかったからだそうです。(私も見たことありませんでしたけど)
そこで、会場の四隅に立っていたスタッフは、もし誰も動かなかったら、会場を走り回り、参加者に「よければ、やってみてください」と声を掛けようとスタンバっていたそうです。
一方、壇上の私は、『400人に演習してもらう・・は初挑戦だけれど、”はい、やってみてください”と言ったあと、壇上でずっと黙って待っていたら、きっと皆さんは動き出すだろう』と覚悟を決め、ひたすら黙っていました。
数秒後。
あちこちでペアができ、わさわさ、ざわざわ・・・わーーーと会場中、誰も彼もがペアや3人組で話す光景が見えてきました。
一度これができたら、後は気持ちに余裕が生まれました。会場も和やかムードに。
結局、この時は3回くらいペアワークを入れて、60分の講演を終えたのでした。
後で編集長が、「田中さんさあー、何をするかと思ったよ。あせった。でも皆さん、案外やってくれるんだねー。楽しそうだったね」 とおっしゃっていて、「そーゆうもんです!」と胸を張って答えたものでした。(内心は、バクバクだったんですけど)
というわけで、それ以来、何人であっても演習つきで行うことにしています。
そういえば、最近の講演(どなたのものでも)は、たいてい演習つきですよね。(演習とは「隣同士、話し合ってもらう、とか、何か書いてもらって、それを見せ合うとか、ちょっとしたワークのことを言っています。)
今日も5回くらいは演習を入れます。クイズとか隣同士で情報交換など、です。楽しみ。
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実は、最初の400人イベントは、私以外に2人が講演されました。
出版社の会議室に集まっての事前打ち合わせの時、他のお2人が、「あのぉ、全員で何か演習をしたいのですが、いいですか?」とか「会場を歩き回りたいので、ピンマイクで」なんておっしゃっていたので(私より10歳も20歳も年長の大先輩たちです)、
「あ、それなら、私も何かやらねば」と準備して当日に臨んだのです。
トップバッター。・・あれ?演習しないな。
2人め。・・・・あれ?話して終わっちゃった。
まじっすか?
真に受けた私は、沢山の演習を仕込んできちゃったし、配布資料にも入っているんですけどぉ・・・と舞台袖でド緊張モードに突入。
ええーい、やってしまえ!と決断した、というのが、裏話です。
でも、あの時”ダマされて”よかった、と今は思います。挑戦する機会が得られたのですから。
どんな時も人生は「偶然」に左右されます(笑。