2009年9月4日金曜日

旧ブログ記事:仕事のそのあと。(2009年9月4日掲載)

今日は、1日休みをとって在宅です。昨年引っ越してきたマンションの2年目点検日。待機中。

1年前に引っ越した時、何回か体験した「仕事の後(あと)」について、今日は書いてみます。突然、思い出したので。

20年ぶりにほぼ全ての家具・家電を買い替えたのでしたが、家具は、新宿のO家具(わかりやすい)で担当についてくれた女性が大変よくできる人で、あれこれ手配していただきました。

引っ越しの時、結構まとまったお金が出て行くので、頭の中が多少おかしくなるものですが、「絵を買わねば」と突然思ったりして、銀座●越のギャラリーで絵まで買ってしまいました。(かなりおかしい)

その時の担当女性もこれまた大変丁寧な仕事ぶりで、親切で、希望の額装に入れ替えるのも細かく要望を聞いた上で対応してくださいました。

さて、その二人の女性が、偶然にも同じことを言ったので、「あ!」と思ったのです。

「私たちは、家具を売る仕事をして、できるだけ、お客様の住まい方に合わせていいものを提供したいと思っているのですが、その家具がその後どうなったかを見ることってまずないのです。不具合があって、どうしても訪問しないといけない場合は、もちろんお邪魔するのですが、それ以外、うまく行っている、満足していただいているという場合は、私たちが販売した家具がどうなったか、見ることがないんですよ。」

「絵をお買いになった方が、ご自宅で、どの部屋にどんな風に飾っていらっしゃるのか、って、まず見ることがないんです。どうなっているのかなあ、大切にされているのか、楽しんでくださっているのか、と気にはなるのですが。」

・・・

仕事の「後(あと)」を、二人とも見ることができない、と言うのですね。

私たち、人材育成の仕事も、研修を受講された方がその後どうなったのか?どんな風に知識や技術を実務に役立てていらっしゃるのか、をあまり見聞きすることはありません。

なので、時々、参加された方から「あの時勉強したことがこういう風に役立っています」といったメールを頂戴したり、新入社員研修であれば、数年後にカッコいいビジネスパーソンになっている姿で再会したりすると、嬉しくなります。カッコいいビジネスパーソンになったのが私たちの研修の成果だというわけではないのですが。

職種によって、自分の「仕事の後(あと)」がどうなっているのか、を見やすいものと見づらいものがあるのかも知れませんね。

それで思い出した話。

新入社員のフォローアップ研修を1月に実施した時のこと。

「入社してからこれまでの10ヶ月で嬉しかったことは何ですか?」という問いかけに対して、グループで体験の共有をする時間を設けました。

一人の男性ITエンジニアさんがこう言いました。

「ボクは、配属後すぐに先輩から、”この画面作って”と仕事を割り当てられました。新人研修で勉強した技術を組み合わせてつかうものだったので、頑張って作ったのですが、それでも相当ダメ出しも受けました。やっとOKが出て、納品したんですが、それがどうなったのかはずっとわからないままでした。ある日、先輩に伴ってユーザ先での打ち合わせに出向いた時、たまたまオフィスエリアを通り過ぎたんです。すると、事務所の方の何人かがパソコンの画面に、ちょうどボクが作ったメニュー画面を開いていたんです。その時初めて、”ああ、自分がやった仕事はこれだったのか。ちゃんとユーザがいるんだ”と実感して、とても嬉しくなりました」

ITエンジニアの仕事もまた「仕事のあと」が見づらい場合が多いのかも知れません。

この新入社員は、偶然、自分の仕事の結果を現場で見ることができたのですね。

「仕事の後(あと)」を見ることで、やりがいややる気はうんと変わってくる気がします。

先輩たちが、「仕事のあと」を見せる工夫ができたらしてやればいいし、ユーザ側もせるチャンスを作るというのも、ありかも、と思うのです。

ところで、冒頭のO家具とギャラリーの二人の女性ですが、「仕事のあと」を見せることになりました。

まず、ギャラリーの女性については、後日絵をかけるフックを買い足しに出かけた際、「現時点でこんな風に飾ってあります」という写真を持参し、見せました。 「こんな風に見ることがないので、本当に嬉しい!ありがとうございます」ととても喜んでくれました。

O家具については、ある家具の匂いが取れないと伝えたところ、「匂いをかぎにいきます。それで対処法を考えさせてください」ということになり、担当さんが来てくれました。その際、求めた家具それぞれを見せました。

「ああ、こういう配置をなさりたかったわけですね。田中さんが話されていたことの意味がやっとわかりました」とか「なるほど、これをこれと組み合わせる方法もあるのですねぇ」とひとつひとつ感慨深そうに眺めていました。

彼女は本当に「家具」が好きなんだなあ、と私も嬉しくなりました。

さて、皆さんの仕事は「仕事の後(あと)」を見たり、聞いたり、実感できたりしますか?

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